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東アジア地域連帯W.G.

我々の食生活は世界との共存・共生がなければ成り立たなくなっています。食の安全・安心が実現する社会を目指すには、世界、なかでもアジアとの連携が重要です。アジア各国が急激な経済成長を遂げている中で、食の安全・安心をアジア全体に広げていくため、三大学や農村のサテライトを拠点とした留学生の受け入れをはじめとした様々な人材育成・交流活動、日本人学生の海外の協定大学や農村でのインターンシップなどの取り組みが必要となります。その実現に向けた活動を行っています。

基盤学Ⅲ販売実習「北大マルシェ」開催決定

食の安全・安心基盤学Ⅲでは、農作業実習にくわえて、販売実習も行うことになっています。
8月27日、28日の両日、北大農学部前において「北大マルシェ」を開催します。
学生が農作業をお手伝いしている富良野市の農家の方の生産物のほか、訓子府サテライト、栗山サテライト、余市サテライトをはじめ、北の3大学と関わりのある道内の産地・生産者の方に、こだわりの農産物・食品を提供していただき、北大農学部のキャンパスにおいて「マルシェ」を開催することになりました。
詳しくはこちらをご覧ください。

生産者の想いを消費者の方々に伝える場を提供する。マルシェを通じた交流をきっかけに、北海道の農村の魅力を伝える場となればと思っています。魅力的な食のほかに、生産者の方々と交流できる場も用意します(ポスターをご覧ください)。
皆様のご来場をお待ちしております。

北大農学部正面玄関前広場 当日はここにテントが並ぶ予定です

北大農学部正面玄関前広場 当日はここにテントが並ぶ予定です


栗山町調査

2/17、18日。韓国の江原大学より申先生が来道され、栗山町に調査に行きました。
先生は現在地域農業振興計画を策定のお仕事をされており、栗山町は農業振興公社
が中心となって農業振興計画を策定してきた経緯があり、その取り組みについて調査を行いました。

「湯地の丘自然農園」からの風景

「湯地の丘自然農園」からの風景

また、午後にはJAそらち南の本所を訪問し、旧栗山町農協が整備してきた生産履歴管理システムについて説明をいただきました。その後、栗山町内の「湯地の丘自然農園」で観光農園や農産物直売所「値ごろ市」の話を伺いました。
「湯地の丘自然農園」では昨年、サツマイモを作付けしたそうです。北海道でも道南ではサツマイモの作付けが近年みられてきていますが、空知での栽培できるようになってきているとのこと。しかも去年は露地栽培の方がハウスものよりもよかったそうです。ハウスでは暑すぎたのでしょうか。

翌日は町内を視察した後に札幌に戻り、昨年札幌市狸小路内にオープンした「道産食彩HUGマート」に視察に行きました。「HUGマート」はすでにご存じの方も多いかと思いますが、道産の食材を扱う直売店です。当日は店長の濱本さんから説明をいただきました。店内は早時間にもかかわらず大勢の人でにぎわっていました。栗山町産の農産物や地元のお菓子メーカーが作ったカボチャを使ったお菓子が売られていました。

申先生は非常に興味深いということで、いろいろと質問をされていました。韓国に戻ったときに有効なアイデアをいくつか得たとおっしゃっていました。

「道産食彩HUGマート」

「道産食彩HUGマート」

視察終了後には同じく狸小路にある有機野菜のレストラン「KITCHEN POLAN」にて、ランチをいただきました。このレストランは札幌のAPIA内にも入っている有機野菜を使ったレストランです。オーナーの笛木さんとは以前からお付き合いさせていただいております。当日は、「マクロビオティック」という考えに基づいて調理されたランチをいただきました。

今回の栗山調査。生産から消費まで、いろいろな角度から「食」の今を感じることができたのではないかと思います。

ランチメニュー

ランチメニュー


副サテライト長坂下氏 中国東北部農業協力フォーラムに参加

中国東北部の農業発展と北東アジア地域の農業協力フォーラムに参加

200811月9日に中国吉林省長春市の吉林省農業科学院において「中国東北部の農業発展と北東アジア地域の農業協力フォーラム」が開催され、出席した。すでに夜間はマイナス10度近くまで下がる真冬であったが、宿舎の付属ホテルは新築のもので近代的な設備が整っており安心した。

東北地方の農業経済系の大学が連携

このフォーラムは、吉林省農業科学院が国から東北農業の技術開発拠点に指定され、2006年に従来あった公主嶺市から本部を移転新築し、その中に農業経済系の東北地域農業発展研究センターを設置するのを記念して開催されたものである。これを契機に、東北地域の農業経済系の大学・試験研究機関の5つの組織(吉林農業大学・瀋陽農業大学・東北農業大学・延辺大学農学部)が連携を強めることになり、今回のフォーラムを行うことになった。われわれの参加は、今年で15回目を迎えた日韓農業経済シンポジウムの札幌開催にオブザーバーとして中国東北の農業経済研究者を招聘したことがきっかけであり、日本から3名(坂下と朴さん、北海道武蔵女子短大の松木さん)、韓国から4名(江原大学、慶北大学)が参加した(報告内容は、坂下明彦「北東アジア農業の展開方向と中国東北農業の展望」、朴紅「中国三江平原における稲作経営の実態と米の対日輸出の潜在力」、松木靖「日本の食品安全行政と消費者意識」)。

初回であったため日中韓をめぐる情報交換的色彩が強かったが、松木報告に対して毒ギョウザ事件での日本の対応についての姿勢を問うような一場面もあり、グローバル化に対応した相互理解の必要性を感じさせられた。

待望の公主嶺農業試験場へ

翌日は、こちらのリクエストで日本勢のみで、支場となった「公主嶺農業試験場」の見学をさせてもらった。農業科学院というのは日本の農業試験場に当たっていて、公主嶺は満鉄の直営試験場として1920年代に設置されたものである。面積は長春の試験場が50ha程度であるのに対し、公主嶺は500haの規模を誇っているが、管理部門が長春に移ったため少しうらびれた感じがした(写真1:旧本部)。まず、1920年に建てられたという建物に設置された記念館に案内された。ここには、研究部門別のパネルが展示されていたが、私がちょっと期待していた満鉄時代の記録は当然ながらほとんどなかった(写真2:記念館)。そこから数キロはなれた一般集落に隣接して稲作研究所があった。今回のお目当ては、満鉄(「満州国」)時代に導入された北海道の稲作の種子が戦後に継承されているかを確かめることであったが、党員集会があるとかで研究員は出払っており、主任の金京徳さんから少し話を聞いた。金さんは朝鮮族とのことで、話の途中からは日本語でお聞きすることができた。

水稲研究所と稲の種

研究所の業務は主に育種と栽培であり、他に農薬製造も行っている。市場化の波は試験場にも及んでおり、長春の本部の華やかさとは対照的に建物も古く、トイレも外という状況であった。圃場面積は24haであり、10haの試験圃と14haの原々種・原種圃をもち、採取を農家に委託して(1,000ha)、それを傘下の種子公司で販売し、残りの種子を精米販売することで収入を得ている。現在では民間の種子公司が幅をきかせており、運営費の確保が難しくなっているという。収益源として奨励された農薬販売も見通しは暗いという。

さて、稲作品種のルーツについてであるが、この研究所は1950年に設立され、1960年代に本格的な研究が進められ、吉粳60号と系選14号という中生の品種開発が行われたが「親」は不明であるという。”白毛”などというのがあったから、満鉄時代の品種かなという。1979年に青森県の農業試験場の田中ミノル氏ほか7名により、青森県の種子(秋ひかり・下北・黎明・早錦)が10haの圃場で展示栽培され、ハウス育苗と機械化栽培が行われ、この種子が吉林省で一般化したという。それも、1990年代末からは試験場開発の品種に変わり、現在では吉粳88号、83号が主流であるという。どうも、この地域では青森ルーツの種子が一般的なようである。そこで、はたと気がついた。公主嶺試験場には、黒竜江省のジャムスにも支場があった。ここは、朴さんがフィールドとしている三江平原の中心であり、農懇(国有農場)傘下の稲作研究所がある。現在も空育135など北海道の品種が相当作付けされている。かつての「ソ満国境」で日本の開拓団に導入された稲はここを経由した可能性大である。東北農業史をいつかはものにするという目標は、長い道のりのようである。どなたか、情報をお寄せ下さい。

(副サテライト長 農学研究院 坂下)


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